今やキャップといえば、素材も機能も形態も様々ですがその原点は、1892年にイギリス人のウイリアム・ペインターにより発明された王冠にあります。
それ以前にも、コルク栓や機械栓などが存在しておりましたが、工業製品として大量生産されるようになった初のキャップが、王冠というわけです。日本で王冠が開発されたのは、明治41年(1908年)のことです。本格的に使用されたのは大正の中頃でした。国内で普及が遅れた理由は、王冠の性能の良さを知るのに時間がかかったことと、王冠に適したびんを作る技術が発達していなかったことがあげられています。しかし自動製びん機が発達し、びんの口径が統一されたことにより、広く王冠が使用されるようになりました。ちなみに王冠のひだは21個あり、この数は丸いびん口を締め付けるのに適していて誕生以来現在までほぼ変わっていないといいいます。
また王冠の内側には、密閉性を与えるためにパッキング材が使用されていますが、当初はコルクが用いられ、時代とともに塩ビに代わり、さらに衛生面に配慮して、現在ではポリエチレンが使われるようになっています。安価で密閉性に優れ、スピーディーな打栓が可能であることから隆盛を誇った王冠でしたが「栓抜きがなければ開けられない」「再び閉められない」などの理由から、最近では最盛期(昭和40年台後半)の半分以下に減少しております。(出展:日本ガラスびん協会)